今日は彼岸の明けで、お彼岸も今日で終わりです。
お彼岸の和菓子といえばおはぎです。
この時期になればいつも思い出されるのが
修行時代おはぎを作りながら旦那さんがいつもいっていたことで
「おはぎなんてな、家でかあちゃん、婆ちゃんが作ったのが一番美味いに決まってる。いくらうちらが上
手く作っても勝てねえよ」と彼岸になると必ずいっていた。20年近く前でおはぎ一個、250円で売ってい
た。

その当時は、自分なら250円のおはぎがいいに決まってるべと思っていた。
その時はお菓子屋が作った、いわゆるプロが作ったものだから美味いに決まってると思っていたけれど
確かに美味いに決まってるのだが、昔ばあさんが、小豆をコトコト煮てあんこを作り
餅米をすり鉢で半殺しにして適当に丸めて、
それに前の日から煮込んでいたあんこをたっぷりからめて作った婆ちゃんのおはぎ。
今書いていても思わず涎がでてしまう。

おはぎを作っている情景まで浮かんでくる。それを含めて美味そうだ。
実際どういう味だったかは正直、覚えていないけれどお彼岸に遊びに行くと
おはぎをお重に入れて待ち構えていて出してくれたのは覚えてる。
そしてそれをみんなで分けて競い合って食べていた。

多分そこには、婆ちゃんが子供達に食べさせたくて時間をかけてあんこから作り
お重にまで入れて蓋を開けてみんなの美味しそうな顔を見たくて作っていたと思う。
そういう思いで作ったものがまずい訳が無い。
旦那さんがいっていた「勝てる訳がない」がわかる。

商売としてプロが作った和菓子だから美味くて当たり前、
そこに込める気持ちも当然あるのだが
誰かのために、おはぎを作る婆ちゃんのように
子供達に食べさせたくて作るそれとはやはり思い入れが違う。

味以上のものが込められているからすごく記憶に残っているのだと思う。
自分でお菓子を作る時も同じで
売れるものを、ヒット商品をと思って考えるとなかなか出てこない。
もちろん、そんなに簡単に出てくるなら誰も苦労はしないのだが...
しかし、この人にこのお菓子を食べさせたい、
食べて喜んでもらいたいという気持ちで考えてるといろんな発想がでてくる。
結果意外に人気商品になったりもする。

そこには、商売としてではなく自分個人の想い入れで作ったものなので
味以上ののものがそこには入っているからそれが伝わった時食べた人も感動する。
人に感動をあたえるような菓子作りをいつもしていきたいものです。

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