いよいよ桜餅の販売開始です。
この時期が始まると店の中は桜の葉の香りでいっぱいになります。
この香りがしだすとまた来たなと、少し背筋が伸びる気がします。

三松堂では、4種類の桜餅があり、「関東風」、「関西風」それぞれにこしあん、粒あんがあります。
…「関東風」、「関西風」については散々いろいろな所で取り上げられて知ってる方も多いのでここではあえて書きません。

当店の桜餅の特徴を一言でいうと、自分が今まで見て、食べて美味しいと感じた桜餅の良いところを研鑽し、さらに、三松堂の伝統の味を合わせて出来たものです。

だからそんじょそこらの桜餅とは桜餅にかける情熱が違います。
たとえば関東風のこしあん、…あっ、正直にいうと関東風、関西風という分け方は嫌いです。
うちの桜餅はあくまでも「三松堂の桜餅」だからです。
でも説明するのにわかりやすくするためにこの呼び方を使います。

関東風のこしあんは小麦粉やその他の粉を配合し、一文字と呼ばれる鉄板で焼いた生地にあんこをまいたものです。これだけだとその辺の…になってしまいます。
三松堂の桜餅のこしあんは当然自家製餡ですが、その柔らかさが尋常ではありません。

普通桜餅のあんは「餡玉」と呼ばれる商品に合った重さに手で分けて丸くしたあんこを生地で包みます。
各店あんこの硬さはいろいろだと思いますがそういうやり方が多いと思います。
うちも14年前まではそうでした。
今はというとへらであんこをすくって生地にのせて、あんこを巻き込みます。


あんこはへらでなければすくえない位の柔らかさです。
揺らすと形が変わってしまうくらい柔らかい桜餅、食べたことはありますか?
そのあんを巻く生地も柔らかく、それでいてちゃんとモチモチしているので、生地だけ食べても美味しいです。そのとろとろのあんこをモチモチの生地で巻いたものを桜の葉で包みます。

この時の当然一手間。
普通は桜の葉を塩抜きしてそのまま使いますが、
三松堂では塩抜きした桜の葉をコトコト煮ます。葉の葉脈も食べれるようにです。
だからうちの桜餅は、葉と生地を一緒に食べてください。
というより、生地と桜の葉がなじんでくっついているので嫌でも桜の葉も食べなければいけません。
でも違和感なく葉ごと食べれると思います。

関東風の粒あんは北海道産とよみ大納言という豆から作ります。
この豆は粒あんにしか使いません。なぜかというと、こしあんにしても美味くないんです。
粒あんにして、初めて粒の大きさ小豆の風味など特徴が際立つ豆なんです。

とよみ大納言で作った柔らかい粒あんを生地で包むのですが、この生地が粒あんの場合、黒砂糖入りの生地になります。沖縄県波照間産の黒砂糖を、良く灰汁を取りながら黒蜜にします。
灰汁をちゃんと取って作った黒蜜は黒砂糖の風味だけ残ったえぐみの無い黒蜜になります。

その黒蜜を生地にたっぷり入れて粒あんを包みます。
仕上げは桜の葉です。こしあんの桜餅よりも野趣溢れる味わいです。

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最後に道明寺の桜餅をご紹介します。
道明寺は、普通の道明寺よりも米の風味が強い「生道明寺」といわれる干飯ではなく、生米で作られたものを使います。

こちらも、こしあん、粒あんの二種類。
中に入れる餡は関東風のものと違って手で丸めれる硬さのものを使います。
仕上げは桜の葉を付けて完成です。

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ひとくちに桜餅といってもいろいろな研究、工夫をしています。
季節の和菓子の一つで朝生菓子(どらやき、大福、きんつば等)に思われがちですが、全然上生菓子としてあつかってもおかしくない和菓子です。

今年もスタートです。